草思社 2009-08-22
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この週末に読んだ本。「ノー残業」のよさを説き、残業は「おバカさんの居残り」であるかのように喧伝する本が多々ある中、この本はあえて残業することのメリットを謳っています。それが何かは本書を読んでいただくとして、読み終えた個人的な感想としては、「よし、残業がんばるぞ」という気はそこまで強く起きなかったけれども、逆にもっと大きな視野で「仕事メッチャがんばろう」と改めて思わせられました。
残業術に関する本を読んだのに「残業がんばろう」と思えなかったのは、著者の唱える残業をすることのメリット・目的は腹落ちしたものの、その手段が残業しかないかというとそうではない気がしたからです。確かに著者が掲げる残業のメリットには残業でしか得られないものもあります。が、僕のいる環境では残業したとしてもそれができない可能性が高い。これは環境によるものでしょう。
その一方で、「残業するとこんないいことがありますよ」と掲げられていることの中には、例えば残業ではなくとも自宅持ち帰り作業でもできるものもけっこうあって(効率は落ちるかもしれませんが。例えば、オフィスで一旦撤収作業をして、自宅でまたセットアップをしないといけないとか)、だったら僕は自宅で一度夕飯食べてからがんばろうかな、って思いました。仕事的な効率は落ちたとしても、可能な限りはコンビニおにぎり片手に残業に精を出すのではなく、一緒に住んでいる人と夕飯をともにする時間をやっぱり大切にしたい。
と、ここまでは「別に残業じゃなくてもいいんじゃない?」なんていうちょっと後ろ向きな感想を書いてしまいましたが、でもこの本、感動したんです。少し引用しますね。
アメリカにどれだけの日本人がいようと、対米企業交渉で最も役に立つ日本人は私だと思っている。
大商社マンは胸の社章を突き出してみせて笑うかもしれないが、こちらもにやりと笑い返す。それだけの自負を持って仕事をしてきた。
それは私が人より優秀なはずだとかいう、そういう思い上がりではない。ただたんに、だれよりも私的残業をしてきたという自負。それがあるだけだ。
“私的残業”が何たるかは本書を読んでください。決して量的な話ではありません。「誰よりも長いことオフィスにいたことが私の自信の源泉です」などという単純な話じゃないです。
ここでグッと来たのは、著者が誰よりも(私的残業という形で)努力してきたから大商社マンに負けるわけがないと言い切れるほど自分の力に自信を持っているということ。これを自分のことに置き換えて、今の自分は果たしてそこまで言い切れるだろうか?と思ったんですね。
個人でやられている方も含めれば日本に数万人のコンサルタントがいる中で、ある業界、ある企業、ある分野と絞って言えば、「日本中の他の誰よりも、私が日本で一番御社のためになるコンサルティングができます」と言い切ることはできます(そのくらいのことはしてきたつもりです)。が、その絞り込まれた領域がまだまだ小さい。言い換えれば、領域をけっこう絞り込まないと「間違いなく私がベストです!」と言い切る自信は無いんですね。恥ずかしながら。現時点では。
他人からどう評価されるはさておいて、少なくとも自己評価としては、この先、「間違いなく私がベストです!」と自分に対して言い切れるだけの領域をもっと広げていきたい、そのためにはもっともっと努力しようって強く思いました。
新年早々、いい本に出会えました^^
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某コンサルティングファームで働く「がく」が日々の出来事や気になったことを備忘録的に書き連ねています。