大規模災害を想定し、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の一環として「全社員在宅勤務」を試しにやってみた会社があるそうです。記事を読んでみると、半分弱くらいはこの会社の製品「BIZTEL」の紹介と思しき内容だったりしてちょっとガッカリしますが、でも実際に全社員在宅勤務をやってみたということは評価できるでしょう。避難訓練なんかとは比べ物にならないくらい影響が出る話だと思いますし。
個人的には、在宅勤務を考えた際に最も懸念されるのは「インフォーマルなコミュニケーションが取りづらくなること」だと思っています。フォーマルなコミュニケーションに関しては、それこそ、この記事の中にも出てくる「BIZTEL」(IP電話)やビデオ会議システムがなんとかしてくれるでしょうが、隣席の人と交わす雑談や廊下でふとすれ違った時にする挨拶、ランチを食べに行く道で並んでする会話なんていうのはこういうシステムを入れたところで、オフィスで働いている時と同様になされるようになるとは思えません。ほぼ壊滅したままなんじゃないかとさえ思います。
プライベートでも一緒ですけど、ビジネスの場において、こういう一見他愛もないやり取りから生まれるモノって意外と多いんですよね。
会議や電話は、何かネタがない限りは、もしくはあったとしてもそれが相手を絡めることで発展していくことがわかっていないうちは、わざわざしないものです。ネタも無いのにわざわざ「ねぇ、何かある?」なんて電話しないでしょう。もしくはネタはあってもそれが相手にどう影響するのかわからないままに「ねぇ、○○っていう新しい仕事があるんだけどさ」なんて連絡しないでしょう。こうして連絡する時はきまって、相手を絡めることで何かが動く可能性がありそうだと自分が思っている時です。つまり、会議や電話は既に芽生えたものをドライブしていくには必要な手段であっても、ゼロから何かを生み出す場としては実はあまり向いてないんです。(というと「ブレインストーミングはどうなんだ?」と思われるかもしれません。あれはこの話に照らし合わせれば、何かを生み出そうとしている時点でもう“ゼロ”じゃないです)
その点、こういう他愛もないやり取りには、隣席の先輩が電話で話してる声を聞いて「その話だったら僕、前にやったことがあるんでそこそこ詳しいですけど」って言えたり、廊下ですれ違った同僚の手元の資料を見て「え?今そんな仕事やってんの?それって俺のこのプロジェクトと絡めらんないかな?」って思えたり、いろいろ生まれる可能性があります。
こういうインフォーマルなコミュニケーションはなかなかツールやシステムを導入したところで、在宅勤務でキープしていくのは難しいでしょう。え?Twitter?(笑)確かにあれにはその可能性があるかもしれません^^;。Twitter恐るべし。
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