IT業界にいる人なら当然、いや、いない人でも人によってはシステムには「開発フェーズ」と「運用フェーズ」があるのはご存知ですよね?あ、ここでいう開発フェーズっていうのは基本設計フェーズとかテストフェーズとかと同列の、狭い意味での開発フェーズではなくて、要はシステムができるまでの全行程のことを指しています。広義の「開発フェーズ」ですね。それに対して「運用フェーズ」とは当然、システムができた後にそのシステムを文字通り運用・管理・保守していくフェーズのことを指します。言うまでもなく、よっぽどのことがない限り期間的には「運用フェーズ」の方が長いです。作った期間よりも使った期間の方が短いシステムなど、一般的には失敗作と言ってよいでしょう。
と、長くなりましたが前置きはこのくらいにして。
SE(システムエンジニア)、んー、もうちょっと絞りましょう、SIerに入社してきたホカホカの新人SEにこんな質問をしてみます。
「入社おめでとう!ところで君の配属なんだけど、開発ができる部署と運用ができる部署と、どっちがいいとか、希望ってあったりする?」と。
これは個人的な感覚ですが(自分もそうでした)、恐らく多くの新人SEが
「開発がしたいです!運用はできたもののお守りをするみたいで面白くなさそうですもん。開発は新しいものを作れるのが楽しそうじゃないですか。それは大変なことも多いんでしょうけど、でも開発の方が断然やりたいです」
などと答えるのではないでしょうか?この答え、もちろん決して間違いではありません。正しい見方のひとつでしょう。ただ、少し視点を変えてこんな風に考えてみるのはどうでしょう?
「システムは開発している間はその企業に対して何のリターンももたらさない。ひたすら人員やお金がかかる、言わば“出て行く”だけ。システムがリターンを上げる、例えば営業支援システムが営業マンを助けて売上の伸長に一役買ったり、連結決算システムが経理部の業務負荷を減らしたりするのは稼働してから、つまり運用フェーズに入ってからだ。ビジネス的なインパクトを考えると、実は開発フェーズよりも運用フェーズの方が圧倒的にその意義は大きい」
運用フェーズに入った後、そのシステムが効果を上げるためには当然開発フェーズでの作り込み方も物を言うので開発フェーズを軽視することはできませんが、でも運用フェーズの中でビジネスインパクトを高める方法だっていくらでもあるんです。というかそっちの方がやれる余地が大きいことの方が多いです。「システムは作ったけど、使いこなせてない」なんていう言葉、よく聞く話ですけど、こんなのが典型ですね。別に新しく機能を追加開発してあげなくても、使いこなせるようにするだけで劇的に業務がラクになったり、コストダウンが図れたりすることだってあるんです。
運用はシステムのお守りじゃない。ビジネス上、戦略的にすごく大切なフェーズです。
映画AVATARが大ヒットしたり、先日開催されたCESでも昨年10月のCEATEC JAPANに続いて各社が3D対応製品を発表したり、と巷では「2010年は3D元年」なんて言われ方もされていますが、上の記事によるとその3Dの映像が3Dに見えない人がいると言うのです。初めて知りました。
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3Dテレビとなると、筆者にはこれが見えない。文字通り、見ることができない。2Dの画面を見たときに3Dの映像が存在するかのように見せるはずのテクノロジが、筆者には作用しない。このような人々は、小さいが無視できない割合で存在しており、専門家によって4%から10%と言われている。コンテンツ会社とハードウェア会社が3Dに移行する中、筆者のような人が数多く取り残されようとしている。
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4%~10%というとけっこう多いですよね。この記事によると、そのような人も大半は治療(視覚訓練)を受ければ立体映像を立体として認識できるようになるそうですが、逆に言えば治療を受けないと立体映像を立体として見ることはできない、ということのようです。
かつてこんなテクノロジーがあったでしょうか?もちろん「人によっては難しすぎて使いこなせない」というものは多々あったでしょう。高齢になると高い音が聞こえなくなる、なんていうのも有名ですが、あれは年齢による機能減衰が原因です。年齢うんぬんではなく、言葉を選ばずに言えば“ランダムに”かつ“比較的高い発生頻度で”人によっては五感が作用しません、というテクノロジーってもしや初めてじゃないでしょうか?
テクノロジーもそこまで来ましたか...というか、その類の“デジタル・ディバイド”(本来の意味とは異なりますが、これだってディバイトだと思うんです)を生み出すテクノロジーって必要なのかなあ...。
[Amazon]The ART of AVATAR
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広瀬さんは「わたしのせいでツイッターが落ちちゃった」と興奮気味。ツイッターに続いて広瀬さんのブログもダウンした。
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「わたしのせいで」って広瀬香美ってそんなにか?日本の1ミュージシャンが記者会見開くって言っただけで飛んじゃうほど、Twitterってやわじゃないよね?(.jpサーバー立ててるならともかく、.comだからワールドワイドに共有してるはず)「ブログもダウンした」のくだりには吹いたけど(笑)。
■良質なテキストはお金にできる--ライブドアが考える「儲かるメディアの作り方」
1/15(金)にライブドアが元時事通信編集委員の湯川鶴章氏を編集長としてテクノロジービジネスを扱うブログメディア「Tech Wave」を立ち上げたんですが、それに際して、なぜこのメディアが「livedoor ほにゃらら」ではなく「Tech Wave」というタイトルになったのかを説明したライブドア執行役員 田端氏の例えがこちら↓。
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たとえばNumberが文藝春秋スポーツという名前だったらだいぶブランド感が下がりますよね。CanCamという雑誌の発行元が小学館だろうが講談社だろうがどうでもいいじゃないですか。同じようにTech Waveも『ライブドアITニュース』ではないんです。
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メディアとしてのブランドを確立するためにあえて「livedoor」を冠さなかったことをわっかりやすく説明してくれていますね。例えを持ち出すことで話が逆にわかりにくくなることってありますけど、本来、例えはこういう風に「あー!そうだよネ!」と思わせるくらいに話をわかりやすくする役割を担うべき。そうじゃない例えは自己満足と言っていいかもしれません。(自戒を込めて書いています)
で、このTech Waveの中身を見てみたらここにもわかりやすい喩えが!
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そこでブログメディアを核にしながらも、その周辺にビジネスを幾つも運営していきたいと考えている。このブログメディアを通じて、講演、コンサルティング、アドアイザリー契約の話もまとめていきたいし、エントリーをまとめて本として出版もしたい。調査会社と組んで調査レポートの企画、作成、販売にも乗り出したい。イベント会社と組んで、IT関連のイベントも手がけたい。iPhoneアプリ開発の話も実際に進み始めた。
メディアは野外音楽堂のようなものになると思う。聴衆は無料で入場できて、アマチュアバンドが無料で演奏する。ただそれでは運営できないので、野外音楽堂の周りに焼きそばやたこ焼きの屋台を設置して、その売り上げを収益源にする。アマチュアバンドの発掘や育成、マネジメント事業も収益源にする。それがこれからの中規模メディアのビジネスモデルになるのだと思う。
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うぁぁぁ...この野外音楽堂の喩え、すげー(笑)。なーるほどね。
この「Tech Wave本日スタート」の記事はこの喩えうんぬんの部分に限らず(というかこんなのは枝葉です)、非常に示唆に富む内容になっています。ぜひご一読ください!
[Amazon]コミュニケーションをデザインするための本
他の記事と全然雰囲気が違うネタですが投稿(笑)。マクドナルド、はじまったな。
[Amazon]成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者
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